IFEXでは、saienさんが造花の花々をた~くさん出品していた。埼玉園芸市場 改め 「埼玉アートフラワー市場」と呼ぶべきか?!まあ看板は「saien」と書いてあったので、園芸市場ではなくなった自覚はあるのかな?
シンビや胡蝶蘭の見事な造花も並んでおり、イヤミではなく勉強になった。
それは花屋や花市場が考える蘭の理想形状が映し出されているから。
シンビは5本立ちの花でも全ての花茎に蕾が3輪ずつ残り、育種では到達できない真っ赤な胡蝶蘭や鮮やかなシンビジューム。シンビの葉は短く鉢の幅にスッキリと納まっている。
咲かないのに蕾みつき?!何故だ??
そう、それが花市場が求める理想形状・・・。
確かに、生産者や種苗会社は、その形状を何年の前から求められてきた。
育種の方向性や生産の方向性もそのように向かっている。
矮性品種の選抜・ワイ化剤の多様・株を大きくせず花にボリュームを付ける技術。
最近感じているのが、これらの方向性が植物にかなり無理を与えているのではないかということ。「最近の品種は病気に弱くなった」って言われるのもそういうところがあるのかな?
この前切花生産者のところに見学に行って感じたのは、古い品種の樹性の強さ(まあ強いから今でも残っているって見方もあるけど・・・)。選択圧が矮性方向に向かっており、そのことが樹性の弱さを生んでいるんじゃないかな?と感じているのです。
だって、すくすく育つ子の中から、小さい子選んでるわけでしょ。犬の育種でも同じで、ミニチュアダックス や チワワなんかやっぱり弱いじゃん。人間の世界でも同じで・・・などと言うと、どっかの団体に刺されそうなのでこの辺にして。
さて話題を造花に戻しますが、いま流行のミディー胡蝶蘭やテーブルシンビもあり、実物でこういうラインナップできたらいいだろうな~と感じてしまった。
テーブルシンビの理想形状は、3号の鉢にメリクロンバルブのみでアーチ状に仕立てられた1本立ち。1花茎のりん数が10リン程度・・・。これが黄~ピンク~白~赤・・・・6色ラインナップ!
どっかのテーブルシンビ生産者がこんなの目指して試作していたような。。。
以前にも造花の蘭について批判的なことを書きましたが、皆さんが思っている以上に危機感があるってことなんですよ。
・・・・・・・・・・・・・強敵!・・・・・・・・・・・・・
だって生産者が一生懸命試行錯誤して到達しようとしている形状に、意図も簡単に到達してしまうのだ。
それに、いまの消費者は残念ながら、“生”か“造花”かなんて関係ない。事実6年前店頭販売していたときに、生の胡蝶蘭と造花の胡蝶蘭で迷ったあげく造花を買って行ったお客さんがいた。「こっちの方が枯れないしいいや」って母の日の贈り物にね!
どっちを選ぶかの選択になっているのだよ。
それに、造花が花屋の棚を埋めるってことの意味。
消費者が飾るべき場所を埋めるって意味。
考えてみてごらん。
花屋さんや卸屋さんにしても、「在庫が枯れないし、事実売れるんだからしょうがないじゃない」って言われる状況さ。まあ、こいつら何のために花売ってるんだかわからんような人間だからしょうがないけど。
そして生の花が必要なくなれば、国内生産者も必要ないんさ。
パーツを中国で作って、埼玉で組み立てればいいんだもの。
そのうち、胡蝶蘭屋さんにアルバイトで組み立てやってよとか来るんじゃないかな?
仕立てのプロが組み立てたらそら~いいのできそうだしね・・・
さて、形・色の上では到底敵わない相手 ⇒ 「造花」こいつに勝てる部分って何だろう?
こいつら変化しないんだよ(枯れないってのがいい点でもあるんだけど)。蕾が3リン付いたシンビジューム。この蕾に何を期待するかって咲くことでしょ!造花のシンビの蕾は10年経っても、お水をあげても咲かないわけ。
で~、生のお花は枯れるでしょ。
枯れるって言うと何かマイナスなイメージだけど、日本人は“枯れていく”という植物の変化を愛でる心を持っているのさ。
“枯れていく”はマイナスじゃなくて、プラスの価値なんだよ。
だから造花に勝る商品作るんだったら、咲いていく変化が楽しめ、枯れていく変化が楽しめる商品でないと。そして、いまのシンビや胡蝶蘭は枯れていく姿が美しくない。枯れた後に残る鉄の棒とテープが、枯れ行く風情を損なわせている。
そういった味わいを伝えていかなければ、いつまでも「造花」「造花」と馬鹿にしていられないよ。
そのうち、蕾が咲いてくる造花が出るかも知れないし・・・。
最後に、花市場や花屋、花卸・・・花と名の付く業界で働いている人には、「花」売る心を忘れてほしくないものです。
自分達が売るべき“生”の花が無くなる前に・・・・気づいてほしいな。。。。
0 件のコメント:
コメントを投稿