白洲正子「十一面観音巡礼」
ハードカバーの愛蔵版は写真がきれいで、地図も載っているのでとてもわかりやすいです。
白洲正子さんは仏像や古寺に関する著書が多いにも関わらず、全くの無信仰者だそうで、宗教的な視点ではなく、美術や伝統という視点で捉えているのが、私のような無宗教家には読みやすいのでしょう。本著では、仏教伝来以前の自然信仰と仏教が融合していく過程がわかりやすく書かれている。十一面観音は山の神や水神と深く関係しており、自然信仰とかかわりの強い仏さまのようです。
明治の神仏分離で、神様と仏様の信仰が分けられてしまったけれど、それぞれが深く関わり合いながら信仰されてきたわけで、日本人の信仰の根底にあるのは、自然信仰の対象となる神様なのだろうと感じています。石や滝や木に神を宿していたのが、もっとわかりやすい対象である、仏像に神を宿したということなのでしょう。神社に御参りして、教会で結婚し、お寺でお葬式をする日本人を、海外の信仰者が不思議に見ているが、日本人としては普通のことなのかも知れません。イエスを拝んでいても、ブッタを拝んでいても、その中にある信仰の対象は同じもである、そんな感覚があるのではないでしょうか。
白洲正子さんが、奈良の寺巡りの参考にした和辻哲郎さんの「古寺巡礼」とあわせて読むと、奈良の仏像や寺院の成り立ちを更に勉強することが出来ます。
今年の夏は、ゆっくり奈良を巡る旅に出かけたいと考えています。。。
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