2010年6月18日金曜日

「陰翳礼賛」 谷崎潤一郎


 
今回のお薦め本は、谷崎潤一郎「陰翳礼賛」。
原研哉氏の著書に何度か、紹介されていて興味が湧き、読んでみました。
 
日本人の美意識を”陰翳”という視点から見たエッセイ。
なるほどと思える点が、色々とあります。
 
 
以前から思っていたのですが、日本の文化・美を作り出した江戸以前の日本と、以降とでは、照明環境すなわち室内の明るさが大きく変ってきている。書院造りの日本家屋でも、広くせり出した軒に障子を通して柔らかく差し込む日の光。ましてや、長屋などでは日光が入る窓が極端に限られている。日中でも薄暗い室内。西洋から電灯が持ち込まれるまでは、蝋燭の明かりで夜の室内を照らしていた。そういった、照明環境・光環境のもとで作り出されてきたのが、日本文化であり、美であり、普段の生活であった。
 
谷崎氏は、漆の器・味噌汁の色も陰翳の中に生まれたものだと説明している。金屏風や能舞台が陰翳を意識して作られたものであることは、特に感じることができ、そういう光環境で鑑賞できないことは、非常に残念である。
 
また、現代の日本における照明環境は、明るすぎる。電灯を発明した西洋の方がよっぽど落ち着いた照明を用いている(アメリカは別ですが、、)。これは色々のデザイナーなども訴えていることであるが、一向に解消されない。この著書が書かれた、昭和初期でも同様のことが書かれていおり、そのときよりも現代の日本の方が遥かに明るくなっている。
 
 
さて、日本の花文化というものも、当然こういった陰翳の中で培われた物であり、本来こうこうと光る灯りの中で鑑賞するべきものではなかったのではないか? 
美術館の明るい照明で照らされた、金屏風のように。。。。照明環境で、作者本来の意図とはまったく違う見え方になってしまう。
 
 
 
陰翳の中で生まれた、花をもう一度陰翳の中で楽しむ・・・・。

 
 
 

2 件のコメント:

わたなべ さんのコメント...

いしこさん、本当に素敵な本をお貸しいただいてありがとうございます♪

これから、読ませていただきますが、ものの見方が変わってきそうな・・・、そんなワクワク感が沸いてきました!

ishiko さんのコメント...

先日は、ありがとうございました。

また楽しいWAが増えました。
さて、どんな展開になっていくのか、楽しみ楽しみ。。。